カイタ

のりプロ

№9 ニモと黒縁眼鏡(映画『ファインディング・ニモ』)

今夜のテレビのロードショーはファインディングニモだった。夕食を終え、子供達はそれぞれ自分の部屋へ引き取り、一人リビングに残った一番下の娘にリモコンの操作権が残った。私は隣の和室で寝る準備をしながら、半分閉めた襖越しに映画の音だけ聞いていた。...
のりプロ

№8 認知症のサザエさん(長谷川町子『サザエさん』)

コロナ感染症の問題が落ち着きを見せ、ようやく母の入っている施設でも、家族との面会が再開されることになった。当面、時間や人数は限られる。休日の午前中、長女と二人で会いに行くことにした。数か月ぶりの面会。施設の職員が面会用の個室まで、車椅子を押...
のりプロ

№7 野バラとチャイナローズ(佐藤千亜妃『風に抱かれて』)

チャイナローズという品種のバラがある。我が家では苺ミルクを思わせる、濃いピンクの少しねっとりした質感の花をつける。母が好きで育てていた。三年前、父と母が一緒に施設に移ったあと、空き家となった郊外の家の手入れは、植木や花壇も含め私の仕事となっ...
のりプロ

№6 ぴの(Vaundy『怪獣の花唄』)

Vaundyの「怪獣の花唄」という曲が人気だ。少年時代の、友達との記憶が主題。誰しもが持っている、子供の頃の思い出を呼び覚まし、心の琴線に触れてくる。なぜだか分からないのだが、ミュージックビデオを見ると、何時も決まって、少し泣けてくる。先般...
ちちプロ

№5 あの頃の猪木(『燃える闘魂 アントニオ猪木』に想う)

昨年、アントニオ猪木さんが亡くなった。NHKの深夜の番組で死の直前の様子を放送していた。80年代のプロレスブームのとき、中学生だった私も夢中でテレビ中継を見ていた。猪木さんはその後、政治家としても活動。タレント的に時折テレビで取り上げられて...
ちちプロ

№4 サブスクと軽自動車(KISS『ハード・ラック・ウーマン』)

長男が、春から社会人になった。今、初任給の使い途をあれこれと皮算用している。高校生の長女にも毎月数百円だけ出させ、後は自分が負担し、音楽配信のサブスクリプションの契約をしたいと思うがどうか。そう、私に聞いてきた。反射的に、反対したくなった。...
ねこプロ

№3 ボヘミアン・ラプソディ(クイーン『伝説のチャンピオン』)

今夜は、新しい組織での歓迎会だった。各セクションの幹部を集めた飲み会。私も、迎えられる側。ただ、顔馴染みも多かった。数年ぶりに、また一緒に仕事をする仲間達。気分よく酔った。少し遅くなって家に帰ると、テレビのロードショーで、ボヘミアン・ラプソ...
ねこプロ

№2 桜の花の向こうには(梶井基次郎『桜の樹の下には』)

毎朝の出勤時。バス停まで向かう道の両側に、大きな二本の桜の木がある。それぞれ10m近いだろうか。毎日、何かしら目に入り幾分見上げながら通り過ぎる形になる。向かって右手の桜は酒屋の駐車場と公道の境目付近。左手の桜はアパートの駐車場の敷地の中に...
ねこプロ

№1 始まりは夢十夜ふうに(北杜夫『へそのない本』)

夢を見た。日曜未明、まだ暗い明け方。とし相応で仕方がないのか、あるいは日々のストレスか。この数年、いわゆる早朝覚醒に苦しんでいる。疲労が残っているのに、深夜たびたび目覚めては、その後眠れなくなる。何度目かのトイレに起きたあと、もう少し寝て疲...