ちちプロ №77 雨雲(野口雨情『七つの子』) 午後、私の住むまちに、大雨警報が出た。事務所で一人、デスクに向かって、事務作業をしていたところだった。BGMとして流していた、地元のラジオ番組が、その情報を、ふいに伝えたのだ。まだ、雨は降り出してはいなかった。窓から見上げると、ところどころ... 2025.08.10 ちちプロ
のりプロ №76 大相撲(『氷山の一角』に想う) 休日の午後。車で、裏道をたどり、買い物など、いくつか、用を足していた。車載テレビで、「大相撲中継」を見ながら。助手席の後ろの、いつもの席に、長女も乗っていた。ふと、相撲にまつわる記憶がよみがえった。私の祖父、長女にとっての曾(ひい)おじいち... 2025.07.30 のりプロ
ちちプロ №75 絵本展覧会(ヨシタケシンスケ『りんごかもしれない』) 暫く前の、早朝。ラジオのインタビューで、人気の絵本作家がしゃべっていた。全国を、展覧会で巡回しているらしい。見せる物が小さすぎるために、学生時代に作ったオブジェも展示したりして、色々と、工夫しているのだという。なにしろ、メインの展示物は、自... 2025.07.25 ちちプロ
のりプロ №74 お葬式(トルストイ『人生論』) 主治医から死亡診断書を書いてもらい、葬儀に向けた、段取りが始まった。もし、病院で亡くなると、遺体を、数時間で移動してほしい、と迫られることになる。私の母親は、老人施設で亡くなったから、病院よりは、多少融通は利く。しかし、ぐずぐずしてはいられ... 2025.07.20 のりプロ
のりプロ №73 たらちね(斎藤茂吉『赤光』) 午後、事務所で作業していると、スマホが反応しているのに気が付いた。電話が入っている。母親のいる施設の番号が表示されている。出ると、こんな内容だった。午後になって、呼吸の状態が悪くなった。持ち直すかもしれず、何とも言えないが、こっちに来てもら... 2025.07.10 のりプロ
のりプロ №72 蜂(志賀直哉『城の崎にて』) 事務所の庭が、雑草であふれている。両親が暮らしていた頃だって、それなりに雑草はあったはず。そんなふうにも思うのだが、10年程前の、庭で子供達が遊んでいる写真などを、たまたま目にしたとき、毎度、すっきりとした様子に驚かされる。雑草らしい雑草は... 2025.06.30 のりプロ
ねこプロ №71 縄文(『合掌土偶』に想う) 車中泊の夜が明け、朝から活動を開始した。まず、市内の古い図書館へ向かった。歴史のある図書館だった。場所を変えながら、150年も続いているという。もっとも、現在の建物自体は、数十年前に立てられたもの。有名な建築家の作品である。事件があった時な... 2025.06.10 ねこプロ
ねこプロ №70 車中泊(『ドラクエ』に想う) 早朝、暗がりの中で目が覚めた。一瞬、記憶が混乱する。そうか、車中泊したのだ。どうやら、思ったより穏やかに、夜を過ごせたようだ。トイレに行きたいが、できれば、もう少し明るくなってから車外に出たい。もうちょっとだけ、粘るとしよう。昨日からのこと... 2025.06.05 ねこプロ
のりプロ №69 木瓜皿(『ボケの花』に想う) 事務所の開設に向けて、作業を進めている。先日、私の住むエリアを管轄している支部へ、申請書類を出すところまで漕ぎ着けた。次は、この仕事の事務所として、一応の条件をクリアしているか、調査員がやってくる段取りになっている。相手方と、日取りも決めて... 2025.06.01 のりプロ
のりプロ №68 主治医の説明(『コンビニの駐車場』で想う) 母親の入っている施設から、こんな連絡があった。主治医のところで、状況について、説明を受けて欲しい。近くで、内科を開業しているS医師が、主治医となっていた。母親の施設では、S医師や近隣の看護師と提携を結び、訪問医療の体制を組んでいる。妹と二人... 2025.05.30 のりプロ