□□□ へそのないブログ □□□
◆忘れがたい本、作品、思い出。
◆1記事完結で紹介しています。
◆№1から辿れば私小説風読物。

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ちえプロ

№83 やせがえる(『小林一茶』に想う)

車中泊の夜は、ずっと雨だった。車の屋根を打つ雨音に、時々目が覚めたり、うつらうつらとしたり。早朝、目が覚めた後も、不思議と、寝不足のだるさは無かった。静かな心持ち。山あいの、道の駅の駐車場。夜明け前。トイレに行きたくなったが、もう少し明るく...
ねこプロ

№82 放浪(坂口安吾『堕落論』)

慌ただしく、秋が通り過ぎようとしている。車中泊も使いながら、自分の住むまちから、段々遠くまで足を伸ばそうという私の作戦。夏の間は暑すぎて、車の中で寝るのは無理だろうと、あきらめてきた。それでも、ビジネスホテルに泊まったりしながら動き、公共建...
ちちプロ

№81 あんぱん(『朝ドラ』に想う)

NHKの、朝の連続テレビ小説「あんぱん」。9月で半年間の放送を終えた。アンパンマンの作者、やなせたかしさんの妻、暢(のぶ)さんを主役にした物語。柳井(やない)のぶを今田美桜さん、柳井嵩(たかし)を北村匠海さんが演じた。ドラマを見る習慣の無い...
ちえプロ

№80 純米吟醸(『AKABU』に想う)

その日、私は、一人、車でM市へ向かった。ずっと気になっていた、宿題が二つあったからだ。M市は、海に面した港町。若い頃、三年ほど働いた町。そして、亡くなった妻と、出会った町である。今、妻の実家の一軒家には、まもなく九十になる義父が一人、暮らし...
のりプロ

№79 繰り出し位牌(釈徹宗『法然親鸞一遍』に想う)

母親の49日の法要を終え、1週間ほどが過ぎた。午後、一人、墓へ向かった。そのとき供えた、花の様子が気になったからだ。案の定、数日前の大雨の名残で、ステンレス製の花立ては、濁った水で一杯になっていた。強い日差しの中、花も既に、茶色く痛んでいた...
のりプロ

№78 緑茶の入れ方(ジョン・デューイ『哲学の改造』)

今年も、暑い夏になった。寝苦しい夜が続いている。エアコンと扇風機のタイマーをセットして眠りにつくのだが、僅かな電気代を気にして設定時間をケチるので、結局、タイマーが切れた後、寝苦しくて目が覚めてしまう。そんな繰り返し、となっている。ある夜。...
ちちプロ

№77 雨雲(野口雨情『七つの子』)

午後、私の住むまちに、大雨警報が出た。事務所で一人、デスクに向かって、事務作業をしていたところだった。BGMとして流していた、地元のラジオ番組が、その情報を、ふいに伝えたのだ。まだ、雨は降り出してはいなかった。窓から見上げると、ところどころ...
ちちプロ

№76 絵本の展覧会(ヨシタケシンスケ『りんごかもしれない』)

暫く前の、早朝。ラジオのインタビューで、人気の絵本作家がしゃべっていた。全国を、展覧会で巡回しているらしい。見せる物が小さすぎるために、学生時代に作ったオブジェも展示したりして、色々と、工夫しているのだという。なにしろ、メインの展示物は、自...
のりプロ

№75 大相撲(『氷山の一角』に想う)

休日の午後。車で、裏道をたどり、買い物など、いくつか、用を足していた。車載テレビで、「大相撲中継」を見ながら。助手席の後ろの、いつもの席に、長女も乗っていた。ふと、相撲にまつわる記憶がよみがえった。私の祖父、長女にとっての曾(ひい)おじいち...
のりプロ

№74 お葬式(トルストイ『人生論』)

主治医から死亡診断書を書いてもらい、葬儀に向けた、段取りが始まった。もし、病院で亡くなると、遺体を、数時間で移動してほしい、と迫られることになる。私の母親は、老人施設で亡くなったから、病院よりは、多少融通は利く。しかし、ぐずぐずしてはいられ...