○のりプロ 「サザエさん海にちなんだ名前プロジェクト」(略称:のりすけさんプロジェクト)
施設に入っている母(海苔子:仮名)の様子を中心に過去の記憶を辿る個人的なプロジェクト

№48 読書感想文(太宰治『津軽』に想う)
このとことろ、県内の市町村を巡る、という仕事を断続的に行っている。その日も朝早く、外に出た。どんよりとした曇り空。職場のワンボックスカーの、後部座席の窓から、流れ去る風景に目をやる。この時期恒例となっている、市町村役場を訪問して、意見交換を...

№38 馬鈴薯の煮え具合(『カレーライス』に想う)
日曜の午後。早めにカレー作りを始めた。朝食作りや弁当作りなどのプレッシャーに加え、月曜の朝は、自分の出勤の憂鬱も加わる。早め早めに家事を進め、体の負担を減らし、その後のストレスに耐えられるようにしなければ。日曜日の夕飯作りに早く取り掛かるよ...

№16 通院と粉雪(レミオロメン『粉雪』)
定期的に通院することになった。ここ数年、職場の健康診断でずっと指摘を受けていた。私の場合、ガンマGDPという肝臓の数値と、悪玉コレステロール、それから痛風の危険を示す尿酸値の数字が悪かった。職場の健康診断の後、馴染みの個人病院で診察を受け、...

№9 ニモと黒縁眼鏡(映画『ファインディング・ニモ』)
今夜のテレビのロードショーはファインディングニモだった。夕食を終え、子供達はそれぞれ自分の部屋へ引き取り、一人リビングに残った一番下の娘にリモコンの操作権が残った。私は隣の和室で寝る準備をしながら、半分閉めた襖越しに映画の音だけ聞いていた。...

№8 認知症のサザエさん(長谷川町子『サザエさん』)
コロナ感染症の問題が落ち着きを見せ、ようやく母の入っている施設でも、家族との面会が再開されることになった。当面、時間や人数は限られる。休日の午前中、長女と二人で会いに行くことにした。数か月ぶりの面会。施設の職員が面会用の個室まで、車椅子を押...

№7 野バラとチャイナローズ(佐藤千亜妃『風に抱かれて』)
チャイナローズという品種のバラがある。我が家では苺ミルクを思わせる、濃いピンクの少しねっとりした質感の花をつける。母が好きで育てていた。三年前、父と母が一緒に施設に移ったあと、空き家となった郊外の家の手入れは、植木や花壇も含め私の仕事となっ...

№6 花唄とアイス(Vaundy『怪獣の花唄』)
Vaundyの「怪獣の花唄」という曲が人気だ。少年時代の友達との記憶が主題。誰にもある子供の頃の思い出を呼び覚まし心の琴線に触れてくる。先般の休み、久しぶりに従兄弟の家に泊まり夜飲むため、沿岸部の地方都市へ一人車で向かった。私も小学四年生ま...