○ちえプロ 「高村光太郎「智恵子抄」プロジェクト」(略称:智恵子さんプロジェクト)
妻の生前の様子をまだ見ぬ子孫達まで届けようとする個人的なプロジェクト
ちえプロ №94 ネネジロウ(キース・ジャレット『Country』)
義兄が、M市へ行く予定だという。数百キロ離れたA市から。一人、車を運転して。義父が亡くなった後、空き家となった義兄にとっての、その実家。冬の間、水道が凍結し、漏水が生じているらしい。業者に見てもらうため、まとめて休みを取ったという。その予定...
ちえプロ №93 相続放棄(チック・コリア『What Game Shall We Play Today』)
その朝、私は一人、また、M市へと向かっていた。M市の裁判所で、相続放棄の手続を、進めるためだった。M市まで続く道路には、並行して、地方鉄道の線路が続いている。震災の後、急速に、道路の改良が進み、立派なトンネルが続くようにもなり、鉄路と離れる...
ちえプロ №92 代襲相続(チック・コリア『Return To Forever』)
義父の通夜が終わって、その数日後。私は一人、近くの地方裁判所へ、向かった。相続放棄の手続について、教えてもらおうと思ったからだった。本来なら、義兄と並んで、私の妻が、義父の相続人になる。しかし、既に、妻は亡くなってしまっている。この場合、私...
ちえプロ №91 笑顔の練習(BUMP OF CHICKEN『スノースマイル』)
朝、ラジオを聞きながら、事務所で作業をしていると。地元局のアナウンサーが「では、ここで一曲」と、話題を変えた。そして、BUMP OF CHICKEN(バンプ・オブ・チキン)の「スノースマイル」が流れた。私も、昔から、思い入れのある曲だった。...
ちえプロ №90 無線機(こっちのけんと『はいよろこんで』)
平日の朝。約束した時間に、二男が家にやってきた。ばたばたと、長女も、出かける準備の仕上げをした。三人で、私の車に乗り込んだ。まずは、数キロ先の、長男のアパートへ。長男を拾い、四人で、M市へ向けて出発した。午後に予定されている、義父の通夜に、...
ちえプロ №89 セレモニーホール(『ガチャピン』に想う)
亡くなった義父を、セレモニーホールに移動させた。早朝、そんなメールが、Tさんから入っていた。そのセレモニーホールの名称には、見覚えがあった。昨年、義父の家を訪ねた時に、裏道を歩いていて、偶然、出来たばかりのその建物を見かけた。「過疎のまちで...
ちえプロ №88 新年会(『瞬間接着剤』に想う)
昨年、早期退職し、新しい生活をはじめた。勤めていた頃、年末年始のこの時期は、大小様々な単位で、忘年会があり、新年会があった。しがらみから自由になるために、個人事業主、という立場に移った私ではある。しかし、忘年会まで、まったく無いというのも、...
ちえプロ №83 やせがえる(『小林一茶』に想う)
車中泊の夜は、ずっと雨だった。車の屋根を打つ雨音に、時々目が覚めたり、うつらうつらとしたり。早朝、目が覚めた後も、不思議と、寝不足のだるさは無かった。静かな心持ち。山あいの、道の駅の駐車場。夜明け前。トイレに行きたくなったが、もう少し明るく...
ちえプロ №80 純米吟醸(『AKABU』に想う)
その日、私は、一人、車でM市へ向かった。ずっと気になっていた、宿題が二つあったからだ。M市は、海に面した港町。若い頃、三年ほど働いた町。そして、亡くなった妻と、出会った町である。今、妻の実家の一軒家には、まもなく九十になる義父が一人、暮らし...
ちえプロ №65 コンサート(エリック・クラプトン『Tears in Heaven』)
日曜日。長女が、服を買ってほしいという。大学の実習で、シンプルな白いシャツが必要になる。遊び着ではないので、買ってもらえないか、との理屈。午後、車で、郊外のファストフアッションの店へと向かった。そこなら、それらしいものがきっとあるだろう。F...
