カイタ

ちえプロ

№26 せきれい(椎名誠『雨がやんだら』)

夕飯の買い物袋を両手にさげ、スーパーから家に戻る道すがら。路上駐車しているSUVの車の高い屋根の上。ひょっこり、小さな鳥が顔を出した。かなり近いが、飛び立つでもなく、人懐こいような仕草でこちらを気にしている。細いくちばし、まだらなグレー。見...
ねこプロ

№25 戦メリと漫画のコマ割り(夏目漱石『夢十夜』)

坂本龍一さんが亡くなって、もう一年が過ぎるらしい。休日出勤のため、職場へと向かう車の運転中のこと。朝のニュースの中の特集が耳にとまった。車載テレビは、走り出すと画像は消えて、音だけになる。信号待ちなどで、一旦停車した時、途切れ途切れで画像を...
ねこプロ

№24 国保と「小さな村の物語」(BS日テレ『小さな村の物語イタリア』)

その日は朝から雨だった。平日に取った休みの一日。普段は自転車で通学している娘を、たまには、と車で高校まで送り届けた。車なら10分程度。近い。ワンオペの我が家であるから、雨の日雪の日、急に車を出してあげるというわけにはいかない。あくまでも私の...
ちちプロ

№23 天声人語と死刑囚(ドストエフスキー『罪と罰』)

このブログの文章の一つのお手本は朝日新聞の「天声人語」だと思っている。日課として、毎朝、複数の新聞にざっと目を通す。近年、コラムまで読むことはないが、ある日の「天声人語」には、ふと目が留まった。「死刑執行の告知を当日に行う現在の運用は違憲だ...
ちえプロ

№22 幕引きのとき(立花隆『臨死体験』)

昨年の大晦日(2023年12月31日)、中村メイコさんが89歳で亡くなられた。「乾杯で送る会」を行ったという記事をネットで見かけて、はじめて知った。夫の神津善行さんも、いつの間にかもう92歳になっていたようだ。以前は、お二人それぞれテレビで...
ちえプロ

№21 O-DANとオーダイン(『レトロゲーム』に想う)

O-DAN(オーダン)という写真素材を検索できるサイトがある。世界中のプロの印象的な写真がたくさん揃っていて、フリーで使えるありがたいサイトだ。私のブログに、最近、外国語で不審なメールが入るようになった。どうやらおまえのサイトはSEO対策が...
ちえプロ

№20 風邪と冷麺(『盛岡冷麺』に想う)

長男の誕生日のお祝いに家族で焼き肉を食べに行くことになった。お酒を飲むことを好まない二男の運転で、郊外の湖沿いの店へと出かけた。妻が生きていた頃、ドライブがてら家族五人で休日の夕方などによく食べに行っていた店である。妻に運転してもらいビール...
ちちプロ

№19 バリアフリーと命日(ハービー・ハンコック『Butterfly』)

高校の修学旅行でカナダまで行っていた長女が、予定通りに夜の十時過ぎ、地元の駅までたどり着くという。私が、車で迎えに出る約束となっていた。早めに出て、閑散とした夜の立体駐車場の一階に車を停めて、そこでそのまま待つことにした。駅の周辺は、日々よ...
ちちプロ

№18 「テルーの唄」と修学旅行(手嶌葵『テルーの唄』)

その日私は、部下の運転する車で、朝から、県内のいくつかの市町村を回り、打ち合わせをこなすというような仕事をしていた。ようやく最後の訪問地であるM市を後にし、帰途に付いた頃には夕方になっていた。沿岸部のM市は、大きな川の河口沿いに広がったまち...
ちちプロ

№17 株式投資と高齢社会(両@リベ大学長『お金の大学』)

数年前、父が亡くなった後、いくばくかの株を相続した。何も知識が無く、ゼロからのスタート。勉強しながら何とか手続きを進めた。勘所を聞こうと、長く父の元へ通っていたらしい、大手証券会社の女性営業員に電話で話を聞いたことがあった。父が何か大事にし...