№11 父からの手紙(G・K・ウォード『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』)

ちちプロ

気になっていた「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」を読んだ。
職場への朝の遅刻は厳禁とのアドバイスがあった。

自制心を強くもって時間どおりに出勤するほかの人たちの士気をくじくから。
定刻に出社するという責任さえも果たせない人に、どうして安心して仕事を任せることができるだろう、とある。
ビジネスの世界、仕事の世界は、国が違っても共通してくるようだ。

私の部下にも始業時間のルールを守れない人が時折でてくる。
毎朝、時間ギリギリに席に滑り込むようでは印象が悪い。
ごく若手であれば気軽に注意やアドバイスもできるが、中堅以上になってくるとそうもいかない。
もし、遅刻がちの同僚がいたとしても、信用が落ちるから止めれば良いのにと、内心思うのみで、私がそれを注意する、しないの話しとはならない。

しかし私も管理職の立場になっている今、部下に対してはそうも言っていられない。
決められた時間に、部下に仕事を始めさせることが、まさに管理職の仕事なのだから。

ある朝、午前三時台に目が覚めてしまった。
ビジネスマンの父よりの手紙の、そのあたりの一節を思い出していた。
そして思った。

若いうちは朝眠くてなかなか目が覚めず、誰しも苦しい思いをする。
人によっては遅刻の常習犯となる。
それが50歳を過ぎてくる頃には、今度は早く目が覚めすぎて困るようになる。
疲れが取れていないのにもかかわらず、である。

世の中、中々、ままならない。

若いうちは、それでも体の力があるから、それなりに回復し、何とかなっていく。
しかし、歳をとってからは、疲労が残り続けると、心のダメージに直結するリスクともなる。
私も以前、実際に、危ないラインを超えかけた。

そこで考えた。
一日24時間、3分の1寝て、3分の2活動し続けるというサイクルを守り続けようとするから苦しいのではないか。
人生100年時代という。
人生後半の働き方は、発想の転換があってもよいのではないか。

例えば、早朝から仕事をし始めて、昼に3時間ほど、昼寝も含めてしっかり休む。
その後、もう一サイクル仕事をする。
発想としては、一日を二分割するような働き方。

加齢による体の生理的なリズムの変化に応じて、仕事の仕方も変えられないだろうか。
そうでないと辛い。
近年、日中、眠気のような疲労のような茫漠とした時間が多くなり、苦しんでいる。

妻の死後、毎朝早く起きて食事を作り、子供の弁当も作るという生活を続けている。
これまで、そういう個人的な事情により、日中、眠いのだと思い込んでいた。
しかし、案外、多かれ少なかれ、誰しも行きつく道なのかもしれない。

十分に休息を取りながらであれば、私もまだまだ世の中のためになる、クリエイティブな仕事が出来るのではないか。そんなことも考えている。

外山滋比古さんの晩年の仕事の仕方が、まさにそういうことだったようだ。
朝食を抜いてまず働く、ということがポイントのようだが。

ずっと勤め人だった私であるが、働き方を変えて、自ら実験してみようと思っている。
子供達にとっても、人生の選択肢が増えるように。

「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」のように、このブログの中で私も子供達へあてて、社会人としての心得のようなものを残せたら良いと思っている。

これからやろうと思っている事に、自分の中で密かに、何とかプロジェクトと名前を付けて、楽しみながらも頭を整理していきたい。

この件について名前を付けるとすれば差し詰め「ビジネスマンの父からの手紙プロジェクト」。
略して「ビジプロ」とでもなるだろうか。

これだと、あまり面白みはない。
字面も可愛いので、こうしよう。

「ビジネスマンの父からの手紙プロジェクト」、略して「ちちプロ」。

2023年9月某日

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