のりプロ

○のりプロ 「サザエさん海にちなんだ名前プロジェクト」(略称:のりすけさんプロジェクト)
施設に入っている母(海苔子:仮名)の様子を中心に過去の記憶を辿る個人的なプロジェクト

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№76 氷山(『大相撲』に想う)

休日の午後。車で、裏道をたどり、買い物など、いくつか、用を足していた。車載テレビで、「大相撲中継」を見ながら。助手席の後ろの、いつもの席に、長女も乗っていた。ふと、相撲にまつわる記憶がよみがえった。私の祖父、長女にとっての曾(ひい)おじいち...
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№74 お葬式(トルストイ『人生論』)

主治医から死亡診断書を書いてもらい、葬儀に向けた、段取りが始まった。もし、病院で亡くなると、遺体を、数時間で移動してほしい、と迫られることになる。私の母親は、老人施設で亡くなったから、病院よりは、多少融通は利く。しかし、ぐずぐずしてはいられ...
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№73 たらちね(斎藤茂吉『赤光』)

午後、事務所で作業していると、スマホが反応しているのに気が付いた。電話が入っている。母親のいる施設の番号が表示されている。出ると、こんな内容だった。午後になって、呼吸の状態が悪くなった。持ち直すかもしれず、何とも言えないが、こっちに来てもら...
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№72 蜂(志賀直哉『城の崎にて』)

事務所の庭が、雑草であふれている。両親が暮らしていた頃だって、それなりに雑草はあったはず。そんなふうにも思うのだが、10年程前の、庭で子供達が遊んでいる写真などを、たまたま目にしたとき、毎度、すっきりとした様子に驚かされる。雑草らしい雑草は...
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№69 木瓜皿(『ボケの花』に想う)

事務所の開設に向けて、作業を進めている。先日、私の住むエリアを管轄している支部へ、申請書類を出すところまで漕ぎ着けた。次は、この仕事の事務所として、一応の条件をクリアしているか、調査員がやってくる段取りになっている。相手方と、日取りも決めて...
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№68 主治医の説明(『コンビニの駐車場』で想う)

母親の入っている施設から、こんな連絡があった。主治医のところで、状況について、説明を受けて欲しい。近くで、内科を開業しているS医師が、主治医となっていた。母親の施設では、S医師や近隣の看護師と提携を結び、訪問医療の体制を組んでいる。妹と二人...
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№48 読書感想文(太宰治『津軽』に想う)

このとことろ、県内の市町村を巡る、という仕事を断続的に行っている。その日も朝早く、外に出た。どんよりとした曇り空。職場のワンボックスカーの、後部座席の窓から、流れ去る風景に目をやる。この時期恒例となっている、市町村役場を訪問して、意見交換を...
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№38 馬鈴薯の煮え具合(『カレーライス』に想う)

日曜の午後。早めにカレー作りを始めた。朝食作りや弁当作りなどのプレッシャーに加え、月曜の朝は、自分の出勤の憂鬱も加わる。早め早めに家事を進め、体の負担を減らし、その後のストレスに耐えられるようにしなければ。日曜日の夕飯作りに早く取り掛かるよ...
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№16 通院と粉雪(レミオロメン『粉雪』)

定期的に通院することになった。ここ数年、職場の健康診断でずっと指摘を受けていた。私の場合、ガンマGDPという肝臓の数値と、悪玉コレステロール、それから痛風の危険を示す尿酸値の数字が悪かった。職場の健康診断の後、馴染みの個人病院で診察を受け、...
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№9 ニモと黒縁眼鏡(映画『ファインディング・ニモ』)

今夜のテレビのロードショーはファインディングニモだった。夕食を終え、子供達はそれぞれ自分の部屋へ引き取り、一人リビングに残った一番下の娘にリモコンの操作権が残った。私は隣の和室で寝る準備をしながら、半分閉めた襖越しに映画の音だけ聞いていた。...