ちえプロ №46 「ほにほに」と「こじこじ」(さくらももこ『コジコジ』に想う) 朝の通勤のバスの中。家の手伝いを、一つお願いした私のLINEに、長女からこんなスタンプが返ってきた。アニメのキャラクターの「コジコジ」が、きりりとした表情で親指を立てて「ぐっ」。へー、まだ「コジコジ」のスタンプなども出回っているのか。微妙に... 2024.12.20 ちえプロ
ちちプロ №45 アンコンシャスバイアスの歯車(芥川龍之介『歯車』に想う) ある朝、職場で。こんな様子が目にとまった。若手の男性職員が、打ち合わせテーブルの上の、その日の各社の新聞を畳んで整理している。続けて、前日の新聞を、それぞれのホルダーへと綴り直す作業。そうか、N子さんが病気休暇で、しばらく休んでいるからだ。... 2024.12.10 ちちプロ
ちちプロ №44 サンタと入試面接(『クリスマス』に想う) ひと月ほど前の土曜日の早朝。ふと気が付くと、廊下の奥のドアの前に、長女がぬっと立っていた。ボサボサの長い髪。今、起きたばかりなのだろう。なぜだか満面の笑みである。こちらを見たまま、動かない。つい、声が出た。「何だ、何だ。どうした、どうした?... 2024.12.05 ちちプロ
ねこプロ №43 ブログとは何か(畑正憲『ムツゴロウの放浪記』) 少し前のテレビのクイズ番組。こんな問題が出た。「ブログって何の略?」若いタレントの答えはこう。それは、ウェブ、ログ。正解である。「ウェブ」、即ちインターネット上の情報を閲覧できるようにするシステム。「ログ」、即ちコンピューター上の記録。つま... 2024.12.01 ねこプロ
ちちプロ №42 谷川俊太郎の宇宙(谷川俊太郎『旅』) その日の朝の新聞各紙。不思議なくらいに沢山の、谷川俊太郎さんの記事だった。朝日新聞の「天声人語」。案の定、谷川さんの話題である。「天声人語」らしく、谷川さんと、詩人のねじめ正一さんが、即興漫才をしていたのを見たことがあるという、ちょっと意外... 2024.11.23 ちちプロ
ねこプロ №41 「ルビコン川を渡る」或いは「賽は投げられた」(塩野七海『ローマ人の物語』) 私の早期退職の件。いよいよ人事当局の耳に入る段となった。気持ちを確認するための、ヒアリングなども始まった。どうなることか。どこへ行き着くのか。「賽は投げられた」という表現がある。並んで「ルビコン川を渡る」という慣用句も良く聞く。違う時代にル... 2024.11.15 ねこプロ
ちえプロ №40 「旅をする本」と「働かないふたり」(星野道夫『旅をする木』) 私の記憶には「旅をする『本』」としてインプットされているその文庫本の題名。しかし、毎度よく見返せば、本当は「旅をする『木』」なのだ。静かにファンの多い本だと思う。この文庫本自体が、私の中で、ある種のスピリチュアルな存在となっている。幾つかの... 2024.11.10 ちえプロ
ねこプロ №39 苦役列車と銀河鉄道(西村賢太『苦役列車』に想う) 私が西村賢太さんを知ったのは、その死亡の報道によってである。思い返せば、記憶の片隅に、芥川賞受賞後の、記者会見の様子がぼんやりと蘇ってもくる。そうか、あのときの作家か。突然の死に至る経緯はこうである。夜、タクシーに乗って帰ろうとしたところ、... 2024.11.05 ねこプロ
ちちプロ №38 馬鈴薯の煮え具合(『カレーライス』に想う) 日曜の午後。早めにカレー作りを始めた。朝食作りや弁当作りなどのプレッシャーに加え、月曜の朝は、自分の出勤の憂鬱も加わる。早め早めに家事を進め、体の負担を減らし、その後のストレスに耐えられるようにしなければ。日曜日の夕飯作りに早く取り掛かるよ... 2024.11.01 ちちプロ
ちちプロ №37 アトムとかたつむり(浦沢直樹『PLUTO(プルートゥ)』) マンションの駐車場に着き、車から降りようとドアに手をかけた時のこと。ちょうど目が行く、ドアミラーの付け根のあたり。小さなカタツムリと目があった。いつからそこに、ひっついていたものか。数年前、施設に移った私の両親が残した郊外の家。今や、休日の... 2024.10.30 ちちプロ