chapter5

ねこプロ

№49 かにともも(赤松利市『藻屑蟹』)

朝の出勤時。職場のある八階まで。朝だけは階段で登るようにしている。一応、健康維持のため。早朝の、その時間帯。外部委託の清掃員の人達も、階段の踊り場などを使いながら、作業をはじめる準備をしている。床を水拭きするためのモップを、ところどころ立て...
のりプロ

№48 読書感想文(太宰治『津軽』に想う)

このとことろ、県内の市町村を巡る、という仕事を断続的に行っている。その日も朝早く、外に出た。どんよりとした曇り空。職場のワンボックスカーの、後部座席の窓から、流れ去る風景に目をやる。この時期恒例となっている、市町村役場を訪問して、意見交換を...
ちちプロ

№47 千と千尋とサンショウウオ(井伏鱒二『山椒魚』)

ネットで調べ物をしていた時のこと。こんな質問箱のやり取りに目が留まった。「千と千尋の神隠し」をまた見た。4回目である。しかし、まったく意味が分からない。オクサレ様は、帰るとき、どうして「よきかな」と言ったの?カオナシって何者?最後にこちらの...
ちえプロ

№46 「ほにほに」と「こじこじ」(さくらももこ『コジコジ』に想う)

朝の通勤のバスの中。家の手伝いを、一つお願いした私のLINEに、長女からこんなスタンプが返ってきた。アニメのキャラクターの「コジコジ」が、きりりとした表情で親指を立てて「ぐっ」。へー、まだ「コジコジ」のスタンプなども出回っているのか。微妙に...
ちちプロ

№45 アンコンシャスバイアスの歯車(芥川龍之介『歯車』に想う)

ある朝、職場で。こんな様子が目にとまった。若手の男性職員が、打ち合わせテーブルの上の、その日の各社の新聞を畳んで整理している。続けて、前日の新聞を、それぞれのホルダーへと綴り直す作業。そうか、N子さんが病気休暇で、しばらく休んでいるからだ。...
ちちプロ

№44 サンタと入試面接(『クリスマス』に想う)

ひと月ほど前の土曜日の早朝。ふと気が付くと、廊下の奥のドアの前に、長女がぬっと立っていた。ボサボサの長い髪。今、起きたばかりなのだろう。なぜだか満面の笑みである。こちらを見たまま、動かない。つい、声が出た。「何だ、何だ。どうした、どうした?...
ねこプロ

№43 ブログとは何か(畑正憲『ムツゴロウの放浪記』)

少し前のテレビのクイズ番組。こんな問題が出た。「ブログって何の略?」若いタレントの答えはこう。それは、ウェブ、ログ。正解である。「ウェブ」、即ちインターネット上の情報を閲覧できるようにするシステム。「ログ」、即ちコンピューター上の記録。つま...
ちちプロ

№42 谷川俊太郎の宇宙(谷川俊太郎『旅』)

その日の朝の新聞各紙。不思議なくらいに沢山の、谷川俊太郎さんの記事だった。朝日新聞の「天声人語」。案の定、谷川さんの話題である。「天声人語」らしく、谷川さんと、詩人のねじめ正一さんが、即興漫才をしていたのを見たことがあるという、ちょっと意外...
ねこプロ

№41 「ルビコン川を渡る」或いは「賽は投げられた」(塩野七海『ローマ人の物語』)

私の早期退職の件。いよいよ人事当局の耳に入る段となった。気持ちを確認するための、ヒアリングなども始まった。どうなることか。どこへ行き着くのか。「賽は投げられた」という表現がある。並んで「ルビコン川を渡る」という慣用句も良く聞く。違う時代にル...