№21 O-DANとオーダイン(『レトロゲーム』に想う)

雑文

O-DAN(オーダン)という写真素材を検索できるサイトがある。
世界中のプロの印象的な写真がたくさん揃っていて、フリーで使えるありがたいサイトだ。
私のブログに、最近、外国語で不審なメールが入るようになった。
どうやらおまえのサイトはSEO対策がなっていないから手伝ってやる、というものが多いようだが、中には、ベッドに甘いお菓子があるけどどう?と言っているらしいものまである。
ブログの運営にはよくあることらしい。

とはいうものの、最近使うようになったO-DANのルール変更があり、気付かず違反などしてはいまいか、と少し不安になって、口コミを検索してみることにした。

なぜか意図したものがまったくヒットしない。
それどころか、昔のゲームソフトの話しばかりが出てくる。
何となく、見覚えのあるパッケージ。

どうやら、検索窓へつい「オーダン」ではく「オーダイン」と打ち込んでいたようなのだ。

懐かしい横スクロールのシューティングゲーム。
昔、私もPCエンジンという家庭用ゲーム機のソフトとして持っていた。

このゲームにまつわる思い出が、ふと蘇ってきた。

妻と付き合いだしてすぐ、私は地方都市から東京の関連組織への転勤となった。
そこで2年働いた。

その間、彼女は、はるばる東京の借り上げマンションの一室まで、何度も遭いにきてくれた。
うっかりしていたが、相当に旅費の負担が重かったようだ。
結婚後かなり経ってから、当時そのために定期貯金を崩していたと知った。

総合病院で看護師をしていた彼女は、三交代勤務だった。
必ずしも土日ではないところで連休がとれる。

ある時、私が仕事を終えて部屋に戻ると、彼女はテレビの前でゲームをしながら私の帰りを待ってくれていた。
夕飯の支度は既に終えてあった。
その時、画面に映っていたのが「オーダイン」。

畳に正座して、横に自分で茹でた枝豆の皿を置き、もぐもぐと食べながら。
テレビから少し離れて、きちんとゲームしている感じがいかにも彼女らしかった。

私に気付くと、彼女は「えへへ」と照れ笑いしながら近寄ってきた。
「枝豆すきなのよー」と少し他人事のように言った声の響きを今も覚えている。

よく「おひざのほうが楽なのよー」といようなことも言っていた。

私は聞き慣れていたが、改めて調べてみると、正座することを「おひざ」と表現するのは一般的ではなかったようだ。
九州の一部の方言で「おひざ」というらしいとの記事も見かけた。
しかし、いずれにせよ私達の地方の方言ではない。

妻独特の言い回しの一つ。

彼女の友達は、それを「T子語」と表現していた。
「またTちゃんは変なことを言って、あっはっはって、M子ちゃんから言われたのよー」
よく、そんな話しも、大きな身振りでしてくれた。

改めて、オーダン(O-DAN)の方を検索してみる。
変わらず評判は良いようだ。

明日は妻の命日である。
オーダンで何かしっくりくる写真を探して、この話しをブログにまとめることにしよう。

2024年2月某日

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